三期生ソンの入院 後編

三回の喀痰検査をした結果、やはり結核菌が見つからないので、気管支鏡検査を行うことになりました。この検査はかなりの苦痛を生じるようです。先生が細かくわかりやすく説明してくださったので、ソンも検査を受けるのはしょうがない、という感じの表情になっています。また、検査室に私も一緒に入って良いとの許可を先生から頂いたので、少し安心した感じです。

5月13日、気管支鏡検査のために一日入院をしました。朝から入院手続きを行い、部屋に行くと院内感染対策のため個室です。ソンはホテルみたいです。綺麗です。と検査をする事を忘れたかのように浮かれています。

午後1時半から検査の準備をします。喉の麻酔や舌の麻酔等を先生が丁寧に行ってくださいましたが、やはり若いので反応が激しく酷い『咽頭反射』があります。そこで、先生が鎮静剤を使って少しでも検査が楽になるようにしてくださいました。

検査が始まって、かなり苦しそうにしていましたが、その都度、先生や看護師さんが声をかけてくださったので、ソンも頑張れたのだと思います。

検査が終わって部屋に戻る時は、鎮静剤を使っていましたのでベッドで戻りました。そこで2時間は安静にするのですが、困ったことにトイレに行きたがります。尿瓶を持って行っても出来ません。で、ちょっと私が部屋を離れた隙に勝手に起き上がってトイレに行ったようです。。まぁ言うことを聞いてくれない子ですよ。ただ、それ以降もしきりにトイレに行きたがりましたが、絶対に起きたらダメですと言って寝かせておきました。たぶん行きたい感覚があるだけだったのだろうと思います。二時間経って動けるようになったのでトイレに行きましたが出なかったようですしね。

鎮静剤で頭がボーーっとしていながらも時々私を探しているようでしたので、夕方まで座っていました。すると、”部長、iPadもてきてください”と言います。
病院ですからネットは使えませんよ?というと ”ネット要らないのゲームです。大丈夫です”と言うので、寮へ取りに戻りました。病院へ戻るとちょうど夕食の時間でしたので、ご飯を食べさせようとすると”日本のお茶はダメです。お腹痛いになります”と駄々をこねるので売店へ水を買いに行きました。

夕食後、寝ながらiPadで遊んでいるなぁっと思ながら、旅順の彼の家に家庭訪問した際にご両親に言った言葉 ”三年後、必ず健康で無事に帰します” が繰り返し繰り返し思い出されていました。フッと彼を見ると寝ています。まだ鎮静剤が効いていたのでしょうね。目を覚ました時に誰も居ないと不安だろうと思い、そのまま8時前までソファーで考え事をしていました。

翌朝、7時前に病院へ行くとちょうど朝ごはんの時間でしたので、食事を運んで部屋に行くとまだ寝ています。あれから一度も起きずに寝ていたようで安心しました。
午前中に先生から検査結果の説明をしてただき、25日に詳しい結果を聞きに行くことになりました。朝の点滴も終わり昼食後退院許可をいただけたので、無事退院となりソンの生まれて初めての入院生活はひとまず終わりました。

が・・・・この後、肺結核の治療をするために一ヶ月の予定で再び入院をすることになります。

本来ならば、12月の定期健康診断で所見が出た時点で、すぐに動かなければならなったわけですが、骨折して会社を休みがちだったので対応が遅れました。このように対応が遅れたことは完全に私のミスです。完治できる病気だったから良かったものの、万が一を考えると今まで以上に彼らの健康に対して注意しなければならないと思いましたし、彼に申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

今回お世話になりました奈良済生会病院の先生や看護師さんに心から感謝申し上げます。外国で検査や治療を受けることの不安に暖かく対応していただけたおかげで彼も無事に検査を受けて治療することができています。

また、現在お世話になっております奈良医療センターの先生や看護師さん、奈良市保健所の保健師さんにも心から感謝申し上げます。
”一緒に頑張って治しましょう”とお言葉をいただき、彼はとても勇気づけられたと思います。本当に暖かい治療・看護・フォローをしていただきありがとうございます。