ナイショで電脳(パソコン)を買いました 第三話

さて、次の日から、どうにもリュウの様子がソワソワした感じになっています。
私がパソコンのことを知っているはずなのに、どうして何も言いませんか?等と思っていたようですね。
ただ、私の口調がいつもの感じではなく、僅かですがぶっきらぼうになっている事には気がついています。

その週末、珍しく土曜日は仕事に来ていますか?と聞いてきました。
その口調は、いつものニコニコと甘えた感じではなく、明らかに罰が悪そうな探るような感じです。ですから、私もいつもと違って、多分来ていますよ、と答えました。
何だかションボリして帰る二人組のその様子は、まさにイタズラが見つかった子どものようでした。この辺可愛いんですよね。。。

土曜日に事務所で待っていると、紙袋を抱えた彼らがやって来ました。
紙袋はジャンが持っています。
ここで、彼らの作戦が見えました。パソコンはリュウが買いましたが、そのまま話したら、きっと叱られます。ですから、叱られにくいジャンが買った、または二人で買いました、という流れで話すのだろうと予想しました。
ジャンは、容姿が優しい感じで、会社のみんなにも受けがいいのです。
それに、大連事務所社員の親戚なので、きっと大丈夫だろうと思ったのでしょうが、これは真逆の対応になることを彼らは知りません。

彼らの採用が決まった時、私は大連事務所の社員と話をしてあります。
多分、君の親戚だから、みんなジャンの方に目が行くと思う。
だからこそ、私はリュウを先に考えるよ。リュウを先に考えることで、彼が寂しくないようにしてあげたいから。ジャンのフォローは君がしてください。と打ち合わせ済みなのです。

事実、私が彼らを叱る時は、必ずジャンから叱ります。褒める時はリュウから褒めます。こうすることで外国での孤独感を感じなさせないようにしていました。