富士山へ行きましたよ!第一話

2009年の8月、彼らには研修生から技能実習生になるために、機械加工の基礎二級技能検定試験の受験が待っていました。この試験に合格すれば、実習生となってもう二年間日本に滞在する事ができます。しかし、もし不合格になった場合は帰国しなければならないのです。

そこで、ニンジン作戦を行うことにしました。
7月最後の休日に模擬試験を行い、実技、日本語筆記試験で、しっかりした合格点を取れたら、お盆休みに好きなところに連れて行ってあげる!と話しました。

二人とも実技試験で見事に基準内に入っている加工が出来、筆記の模擬試験でも100点をとりましたので、どこに行きたいですか?と聞いてみたら

「富士山 行きたいです」

二人を連れて富士山ですか。。こりゃちょっと大変ですよ、と思いつつ約束ですからねぇ。
ちょうどその頃、高速道路が定額化しており、どこまで走っても1000円です。
車で五合目まで行って、ちょっと遊んで帰ったら良いかと、その時軽く思っていた私です。この時、当日の朝から大変なことが起こることなど考えてもいませんでした。

「では、8月11日の夜から行きましょう」「ただし、車で行って日帰りしますよ。頂上までは危険ですから行きません。半分の五合目で遊びましょう。」

もうハイテンションでワックワクな二人組です。

「富士山は、夏でも寒いですから、冬の服が要りますよ」と話しても「大丈夫です。一番上行きます」と私の話など全く聞く耳を持たず上の空の感じで、盛んに中国語で話し合っています。

「行くの時の 晩ご飯 寮で 食べてください。私たち 作ります」と、まぁ可愛いことを言ってくれます。

楽しみですねぇと話していたら8月11日…