除夜の鐘を聞きながら 第二話

「今日の夜6時半に西大寺から電車に乗ってください。一番後ろの車両に乗ってくださいね。乗る前に電話をください」
と31日の朝、彼らに電話をしました。

「あいやぁ。。本当にに行きますか」

と聞こえますが、聞こえないふりをして電話を切りました。

彼らと合流して近鉄奈良駅から歩いて東大寺へ向かいます。途中、初めて一緒に歩いて奈良公園へ行ったことなどを話しながら歩いていきました。東大寺大仏殿のところで出ていた夜店でフランクフルトを食べてみます。中国のソーセージと味は違うようですが、これはこれで美味しかったみたいですね。そこからまた歩いて二月堂に行きます。まだ7時過ぎだというのに既に人でいっぱいです。

「人が多いでしょ」
とリュウがブツブツ言います。

「何時から始まりますか?」
ジャンが聞きます。

「除夜の鐘は12時前からですよ」

「まだ5時間もあります!!」
リュウとジャンの驚いた顔が面白かったです。

東大寺二月堂の除夜の鐘は、8人で一回の鐘をつき、108回鳴らしますので800人ちょっとの人が参加できます。
11時過ぎになると整理券代わりの記念印刷物が配られます。ずいぶん早めに行ったつもりでしたが、それでも真ん中くらいの順番でしょうか。

長い長い時間を待って…ようやく順番が回ってきてゴーーンっと一回鐘をつきます。で、これで終わり。

リュウ
「次長、この次に何が有りますか?」


「これだけですよ。いい記念になりましたね」

リュウとジャン
「こんなに待ってこれだけですか!!」
とあっけにとられる二人。。。

”除夜の鐘を鳴らしましょう”の企画はかなり不評でした。